研究部門賞
なわてんグランプリ 2022年度なわてん

2022年度なわてんグランプリ「研究部門賞」受賞作品のご紹介


2022年度なわてんグランプリの【研究部門賞】には6作品が選ばれました。
受賞された皆さんおめでとうございます!
審査委員を代表して、デジタルゲーム学科の沼田哲史先生に解説していただきました。

コックピット効果を用いたVR酔いの低減効果の検証 情報学科 渡邊海斗さん

コックピット効果を用いたVR酔いの低減効果の検証 情報学科 渡邊海斗さん

近年、Meta Quest 2やPlayStation VRなどを始めとして、バーチャルリアリティのためのHMDが多用されるようになってきました。
本研究では、HMD利用時に視界の一部に固定物を表示したコックピット効果によるVR酔いの低減効果について検証した結果が報告されています。
実験の環境構築から運用までしっかりと検討して実施されており、今後のVR技術の発展に寄与する内容であると考えられると評価が行われました。

渡邊海斗さんのコメント

VR酔いはいろんな人が経験したことがあると思うんですが、そういったことでなかなかVRというものを結構苦手な方もいるとは思います。今回は、この研究によって、そういった方にも楽しんで遊んでもらえるようになってもらえればなって思います。今回は、ありがとうございました。

被写体のプライバシー保護に向けたアバターカメラの研究開発 情報学科 松井友哉さん

監視カメラから人流量を分析するようなシステムでは、プライバシー保護が必須課題です。しかし個人情報を削除しすぎると、分析が困難になるという問題も起きてきます。
本研究では、深層学習を用いて推定した人物属性に合わせたプライバシー保護を行い、分析にも適した映像加工を行う手法を提案し、その有用性が確認されています。今後の社会における重要なテーマの1つに取り組み、成果を挙げていると評価されました。

松井友哉さんのコメント

まずは、受賞できたことを嬉しく思います。街中に監視カメラ等が設置されているのをよく見かけることがあると思うんですが、そういった監視カメラから被写体の情報を得るということがされています。しかし、被写体のプライバシーを守るということも重要だということで、被写体の情報を取得しつつ、プライバシーも守る。そういった研究が、研究成果として出せたのが良かったのかなと思います。ありがとうございます。

移動ロボットCreate2と6軸ロボットアームmyCobot280 Piで構成するROS2サービスロボット作成 情報学科 谷為奨真さん

移動ロボットCreate2と6軸ロボットアームmyCobot280 Piで構成するROS2サービスロボット作成 情報学科 谷為奨真さん

接客や医療などの利用を目的とした「サービスロボット」というものがあります。これからの社会を支える重要な技術です。
本研究では、サービスロボットのプラットフォームとして、移動ロボットに6軸ロボットアームを搭載したサービスロボットを設計・制作しています。そしてサービスの提供に必要なナビゲーション、物体認識、物体把持(ぶったいはじ)、ステートマシンの4種類の機能を実装することで、サービスロボットを実現し、実証実験を行っています。社会に貢献できるテーマに取り組み、成果を挙げた点が評価されました。

谷為奨真さんのコメント

まずは、受賞したことを嬉しく思っております。私の研究は、移動ロボットにロボットアーム搭載して、物を持ったりするロボットを作ろうというものだったのですが、こういうロボットが今後家庭内で働く、サービス業を行うロボットの礎に少しでもなればと思います。ありがとうございました。

プログラミング初学者の検索・エラー解決を補助するwebアプリケーションの開発 情報学科 石田幸暉さん

プログラミング初学者の検索・エラー解決を補助するwebアプリケーションの開発 情報学科 石田幸暉さん

プログラミングの初学者には、出力されたエラーメッセージを読み解き、現状の発生している問題を把握する「エラー読解力」や、それに関連する情報を検索する力の獲得が重要な課題です。
本研究で提案されたアプリケーションは、出力されたエラーメッセージを入力することで、エラーの解決に役立つ情報を抽出し、それに対する解説や検索ワードを提示します。初学者が自分の知識だけでは解決できない問題に遭遇した際に、効率的な学習をサポートできる点が評価されました。

石田幸暉さんのコメント

研究部門での賞をいただきましたこと非常に嬉しく思います。ありがとうございます。私の開発したアプリケーションでは、プログラミング初学者の挫折の原因になるエラー解決と検索サポートをすることによって、プログラミングを学ぶ方がより楽しく効率的に学習できるようにというようなコンセプトで開発しましたので、その点を評価いただきましたこと非常に嬉しく思います。ありがとうございます。

アプリ開発に向けた音声合成技術VOCALOIDにおける楽曲のプログラミング的解析 デジタルゲーム学科 藤居奨さん

アプリ開発に向けた音声合成技術VOCALOIDにおける楽曲のプログラミング的解析 デジタルゲーム学科 藤居奨さん

昨今、画像や文章を対象とした生成型のAIが関心を集めていますが、歌詞や楽曲についてはなかなか難しいのが現状です。
本研究では、「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」に収録されたボーカロイド作品の歌詞で使用されている語句を抽出し、頻出単語と、それらが同時に文中に出現する共起関係を分析し、その共起関係を元に歌詞の生成を行っています。まだ完全な自動生成までは行えていませんが、将来的に歌詞や楽曲の自動生成につながる研究であると思われます。実際に生成した歌詞も、人の手が加えられてはいますが、違和感のないものに仕上がっている点が興味深い、と評価されました。

藤井奨さんの指導教員・山路先生よりコメント

ボーカロイド楽曲の分析、特に歌詞とメロディの関係をとにかくひたすら分析して、自動生成プログラムで組んでいくという大変地道な作業でしたが、藤井さん本人は、ボーカロイド楽曲のクリエイターとしてずっと活動を続けられていて、その中で着目した問題点とか、導いた仮説とかそういった形で、実践と理論の両面から作業を地道に続けた結果と。そこが評価していただいた結果かなというふうに思っております。

MUレーダーによる電離圏観測のビッグデータ処理 デジタルゲーム学科 大迫士人さん

MUレーダーによる電離圏観測のビッグデータ処理 デジタルゲーム学科 大迫士人さん

近年、個人や小規模な研究では計測することが不可能な貴重なデータが各所から公開され、その活用が期待されています。本研究は、滋賀県甲賀市にある京都大学、生存権研究所、信楽MU(ミュー)観測所に設置された、大型待機観測用待機レーダーであるMUレーダーによって取得され、公開されている電離圏の基礎データを元に、3つの側面からそのデータを読み取っています。
MUレーダーは、中層(Middle atmosphere)と超高層大気(Upper atmosphere)を観測するために作られたことから、それぞれの頭文字をとってMUレーダーと呼ばれています。この研究では、特にノイズからスペースデブリを発見しようというアイディアが盛り込まれており、これは系外惑星探索データから関係なさそうなスーパーフレアを予測するような事例に匹敵する、素晴らしいアイデアではないか、という評価のコメントが寄せられました。

大迫士人さんのコメント

このたびは、受賞させていただきありがとうございます。とても光栄に思います。MUレーダーによる電離圏観測ですが、およそ30年分のデータがあるのに対して、あまり解析が進んでいないということで、手を付け始めたんですが、このような受賞をさせていただいて、とても嬉しく思い、また、この分野に対してもより発展していくように願っています。ありがとうございました。

受賞された皆さんおめでとうございます!
なお、受賞作品を含む全作品をなわてんオンラン会場(https://2022.nawaten.online/)で3月31日(金)まで公開中です。
是非ご覧ください。コメントも書き込んでくださいね〜!