2023年度なわてんグランプリ【ゲーム部門】受賞作品のご紹介
ゲーム部門賞には7作品が選ばれました。受賞された皆さんおめでとうございます!
審査委員を代表して、デジタルゲーム学科の森善龍先生に解説していただきました。
ゲーム部門では専門分野が異なる7人の教員が各自の観点で全ての作品をチェックし、その中でも優秀であると認めた作品を部門賞として選出しました。
なお今年から評価軸としてエンターテイメントとしての娯楽性とシリアスゲームとしての研究性を別軸として評価しました。
なお今年はオーソドックスなゲーム作品に加え、最近トレンドである生成形AIの活用や、コロナ禍を経た上でのシングル要素を兼ね備えたボードゲームなど多種多様な作品が集まりました。
- 箱勇者
デジタルゲーム学科 大石昇弥さん、中道和希さん - デジタルホラーハウス2023『洋館奇譚』
デジタルゲーム学科 潮平雄紀さん、木下陽登さん、中原滉輔さん - VR大砲ゲーム
デジタルゲーム学科 木寺太一さん - 道路標識を学ぶボードゲームの制作“マチナカトレイル”
デジタルゲーム学科 森荘一郎さん、宮本喜民さん、隅田真南斗さん - リクラブ
ゲーム&メディア学科 篠原ひまりさん、今村桃花さん、加藤彩月さん、明田紅葉さん、デジタルゲーム学科 本田有奈さん - 靴型トラッカーを用いたゲーム制作とその手順の確立
デジタルゲーム学科 戸高魁士さん - ふり撃て!コーラガンナー
デジタルゲーム学科 吉岡海翔さん、山根空汰さん、ゲーム&メディア学科 下岡和喜さん、高木星之涼さん
箱勇者 大石昇弥さん、中道和希さん
「敵を倒すとレベルが下がる」という、通常とは逆の発想で制作されたアクションRPGです。ゲームジャンルの常識に疑問を持つ、というのは非常に良い試みです。レベルが下がるという大きなデメリットに釣り合うよう、敵の部位を吸収し、プレイヤーができるアクションを増やすなどで、バランスを調整するチャレンジも見られました。またコアなインゲームの要素に加え、複数のコントローラーへの対応や日本語英語の言語切り替え機能など、アウトゲームのシステム要素の作り込みについても評価されました。
大石さんのコメント
ありがとうございます。ここまで来られたのも見守っていただいた教員の方々と、お手伝いしてくれた後輩のおかげだと思っています。改めてありがとうございました。
中道さんのコメント
メインプログラムをやっていました。今回このような賞をいただけて大変うれしく思っています。ありがとうございます。
デジタルホラーハウス2023『洋館奇譚』 潮平雄紀さん、木下陽登さん、中原滉輔さん
様々なデバイスを活用する魚井研が毎年チャレンジしているホラーVRゲームの2023年度版となります。今年はホラーの演出をただ作り込むのではなく、VRゲームを体験しているユーザーから心拍データを取得し、そのデータに応じてリアルタイムに演出を変化させるなどのチャレンジが見られ、そういったデバイスの活用術が評価されました。
潮平さんのコメント
数ある作品の中から選んでいただきありがとうございました。ステージ制作を担当しました。あべのハルカスでイベントをやったことがあり、その時のお客様の意見からステージを制作しなおしたほうがいいと思い、一から制作しなおしたので、今回受賞できて本当によかったなと思います。ありがとうございました。
木下さんのコメント
制作当初は、靴型デバイスを使おうと思っていましたが、サポートが終了していて急遽ビボスマートという心拍計にデバイスを切り替えて制作をしたのですが、それが今回評価されたのがよかったです。指導していただいた魚井先生と大学院の先輩の方々にも感謝の気持ちを述べたいと思います。ありがとうございました。
中原さんのコメント
制作は機材の関係で家ではできず、研究室に通い詰めてやっていました。こうして受賞できたのも通い詰めた甲斐があったなと思います。ありがとうございました。
VR大砲ゲーム 木寺太一さん
大砲と聞くと海賊か何かを想像する方もいるかもしれませんが、今作は1900年台頃の野戦砲(38式野戦砲?)が今回の題材。ハンドルを回しながら照準を定めて、迫り来るモンスターを撃破する、大砲の操作性を体験できるシミュレーション色が強いVRゲームです。ただ、大砲自体は厳密なだけではなく、ゲームとして考えた時に面白くなるように、通常では発射できないような砲弾を打つことができ、エンターテイメントとしてのチャレンジも見られる良い作品でした。
木寺さんのコメント
この度は作品を選んでいただきありがとうございます。この作品は6~7か月間一人で頑張って作ってきたので、その頑張りが報われたような感じがしてうれしいです。ありがとうございました。
道路標識を学ぶボードゲームの制作“マチナカトレイル” 森荘一郎さん、宮本喜民さん、隅田真南斗さん
本作は、自転車に乗っている人があまり交通ルールを遵守できていないことに気がついた制作者が、いかに道路標識を楽しく学ぶことができるかを考えて、制作したボードゲームとなっています。ゲームとしてもよく考えられているのですが、彼らは制作したゲームを京都府交通安全協会主催のイベントに出展し、中学生や高校生、一般の方にもゲームを試遊いただく機会を設けて作品をブラッシュアップしてきました。
楽しく遊ぶというエンターテイメント性もありつつ、「道路標識を覚えてもらう」という本制作の目的は、教育や社会課題の解決のために利用することができる、シリアスゲームとして高く評価されました。
森さんのコメント
賞をいただきありがとうございました。ご指導いただいた稲浦先生ありがとうございました。京都府交通安全協会様にもご協力いただきありがとうございました。チームメイト2人にも感謝しています。色々な人の助けがあってできたものだと思います。ありがとうございました。
宮本さんのコメント
この度は賞をいただきありがとうございます。この3人のうち1人でも欠けていたら、ここまでのものは作れなかったと思っているので、ここまでやりきれて本当に良かったと思っています。ありがとうございました。
隅田さんのコメント
この日に向けて試作の段階から数多くのゲームの小物を制作してきました。テストプレイの段階から本番まで遊んでいただいた皆様に本当に感謝です。改めて受賞させていただきうれしいです。ありがとうございました。
リクラブ 篠原ひまりさん、今村桃花さん、加藤彩月さん、明田紅葉さん、本田有奈さん
就職活動と恋愛要素をからめた面白い観点のノベルゲーム。チームメンバーがすべてが女子ということもあり、女性ならではの目線で制作されている点も良い。採用したツールのおかげ、という点も当然ありますが、実はなわてんオンラインのページにはゲーム本編を遊べるリンクがあり、ネットワークに繋がっていれば、スマートフォンなどでそのまま本編をプレイができることも高評価でした。
篠原さんのコメント
私たちの作品をこのように選んでいただき大変うれしく思います。私は、キャラクターデザイン、コンセプト、アートなどイラストを主に担当しました。制作当初は不安な点も多く、ゲームとして完成した後も不具合が起こったり、ギリギリまで制作していました。たくさんの方々に評価していただき、また展示物をたくさん作らせていただいて、より愛着が沸く作品になったと思っています。ずっと指導してくださった、いしぜき先生と森先生のおかげでもあると思います。感謝の気持ちでいっぱいです。このゲームはなわてん後もノベルゲームコレクションというサイトで配信されてますので、まだ遊んだことのない方もプレイしていただけたらうれしいです。ありがとうございました。
今村さんのコメント
慣れないプログラムを担当しましたが、チームが制作したシナリオやキャラクターデザインを理想通りに落とし込むことにとてもやりがいと達成感がありました。ありがとうございました。
加藤さんのコメント
シナリオを担当しました。みんなでひとつのゲームを作るのは大変でいろいろなことがありましたが、すごく楽しかったです。一緒に作ったメンバーのみんなと、たくさんアドバイスしてくださった先生方、プレイしてくださった方々、本当にありがとうございました。
明田さんのコメント
実装面を担当させていただきました。制作するにあたっていろいろ悩むこともありましたが、先生やチームのみんな研究室のみんなのおかげで、このような素敵な賞をいただけたと思います。ありがとうございます。
本田さんのコメント
UIデザインを担当しました。制作する上で様々な壁が立ちはだかることもありましたが、企画からなわてんまですべての作業を5人のメンバーで楽しむことができてよかったと思います。お世話になったいしぜき先生、森先生、金村先生、研究室のメンバーたち、ありがとうございました。
靴型トラッカーを用いたゲーム制作とその手順の確立 戸高魁士さん
世の中には日々新しいデジタルデバイスが登場します。そういった新規デバイスをゲームにいかに活用するか、という点は実際のゲーム会社においても研究開発の部署で様々な検証が行われます。
本卒業制作については、まさにそういった新規デバイスの活用を目的とした基礎研究や調査であり、デバイスから各種ゲームエンジンやアプリケーションにデータを渡す際に起こり得る様々な不具合を発見し、それを回避する方法や利用方法を見いだしたうえで,その知見をまとめて公開することでした。一般の制作とは毛色は違いますがデバイスの研究や検証、その知見の共有という点においては評価されるポイントとなりました。
戸高さんのコメント
まさか後援会賞とダブル受賞とは思ってなかったので、本当に驚きでいっぱいです。研究室のメンバーにはいろいろ細かいところ、基礎的な部分から教えていただけたので、本当に感謝しております。このトラッカーと共に二人三脚でやっていけたら、またこの研究を後世に残していけたらなと思っております。本日はありがとうございました。
ふり撃て!コーラガンナー 吉岡海翔さん、山根空汰さん、下岡和喜さん、高木星之涼さん
この作品は「コーラを振ったら面白そう」という非常に学生らしい発想からスタートしたように見えるゲームですが、その先の発想として「コーラを振るというアクションは周りの人から見ても面白いに違いない」という「イベントの展示に向いている作品ではないか」という仮説から始まったプロジェクトとも言えます。実際に彼らは、制作したそのゲームを様々なゲームのイベントで展示し、試遊した方とそれを見ている方々から高い評価を得ることができました。コーラを振る、という疑似体験もそうですが、迫り来る敵をコーラーの銃で撃ち払うという、遊びとしても楽しいものに仕上がっており、完成度が高い一本になっている点は高く評価されました。
吉岡さんのコメント
ディレクターを担当しました。この度は賞をいただき本当にありがとうございます。結構メンバーのみんなには無茶ぶりしましたので、ごめんなさいと言っておきます。無事に完成させることができ、よかったです。元々このゲームは2年ぐらい前から作り始めて、コロナ渦全盛期のところで、メンバーの下岡君から一緒にゲームを作ろうよと誘われました。顔も見たことがなく、喋ったこともないメンバー1人ずつが集まって、3年生の間から制作を始めて、学校にも通い、対面で作れるようになり、4年生でまた対面で展示をできたことが非常にうれしかったです。制作に関わってくださった森先生、展示のイベントなどで面白いよとか、頑張ったねとか、プレイしてくださったみなさんにここでお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
山根さんのコメント
プログラムを主に担当していました。この作品を2年間ずっと作り続けてきて、作品を通していろいろな経験や学びを得ることができました。それができたのは、支えてくれた先生方だったり、大学だったり、何よりこのメンバーと一緒に作れたのが一番大きかったと思っていますし、展示でいろんな方に遊んでもらい、アドバイスやコメントいただいて、それをもとにブラッシュアップし、完成度を高くした作品なので、多くの人に感謝したい作品になっています。みなさん本当にありがとうございました。
下岡さんのコメント
メインプログラムを担当しました。今回のゲームは3年生のころにVRゲームを作りたいということで、メンバーを集めるところから始まり、そこからさまざまなイベントなどに展示して遊んでいただき、最終的にはこのように賞をいただいたことをとてもうれしく思います。
高木さんのコメント
3Dモデルを担当しました。このような賞をいただけて本当にうれしいと思います。この賞をいただけたのは、メンバーを集めてくれた下岡君のおかげと思っているので、最大限の感謝をしつつ、ゲーム制作の中で、これどうしたらいいかなというところを支えてくれた吉岡君にも感謝しつつ、一緒に作ってくれた山根君にも感謝しています。このサイトのトップにも映っているようなキングバーガーをいろんな人にかわいいと言ってもらえたり、怖いと恐れられたりしていろんな感情を見せてもらえてとてもうれしかったです。ありがとうございました。
受賞された皆さん、おめでとうございました!
そして、今回出品されたすべての卒研生のみなさんに拍手を送ります!
作品はオンラインサイトで3月29日までご覧いただけます。
ぜひコメントやいいねボタンで応援をおねがいします。