【ゲーム部門賞受賞作品のご紹介】2025年度なわてんグランプリ
2025年度なわてんグランプリゲーム部門賞には、全73作品の中から、特に優れた7作品が選ばれました。
受賞作品と審査委員のコメントをご紹介します。
審査委員 魚井先生のコメント
実を言うと今年は選考に結構苦労しました。なぜかというと、もう少しで受賞できそうな作品が結構あったんです。例えば、ゲームとしての質は良いんだけど、着想がちょっと他にもあるとか、逆に着想はすごく良いんだけど、ゲームとしての完成度がもう一歩とか。その両方を兼ね備えた作品には、どうしても一歩及ばないというところがあって、もったいなかったです。
(※)作品タイトルのリンクから、なわてんオンラインの作品ページをご覧いただけます。
1. 気配斬り(栗栖祐大さん、井上貴博さん、岡田大晟さん)
(魚井)まず「気配斬り」ですが、去年はVRだったんですね。今年は原点に立ち戻って、本当に音だけで気配を感じて斬るということを、いかに体験してもらうかに注力しました。そこをすごく頑張ってもらって、実際にそういう体験ができる点が評価されたと思います。
2. 水中ブロック積み上げゲーム「積んでけサンゴ」(北村卓己さん)
(魚井)続いて「積んでけサンゴ」ですが、完全にアナログ的で、水の浮力を生かして、いかにうまく積むかという工夫が面白い。浮力だけでなく、磁力も使って、いかに引っ付けるかというところもよく考えられています。釣り上げたものがちゃんとサンゴのモチーフになっていて、水中という設定がぴったりマッチしているところに独創性を感じました。
3. AI盤双六(名和朋寿さん)
(魚井)続いて「AI盤双六」ですが、バックギャモンのデジタル版というのは既にあるんですね。ただ、この手のボードゲームはルールが少し変わると全然違うものになってしまいます。その部分を、プログラミング未経験の学生さんが、完全にノーコードでAIと対話しながら作っていって、ちゃんと動くものを作り上げたというところが面白かった。プロンプトのやり取りをどうするかという経験もたくさん積めましたし、こういうことができるということは、逆に古い資料がちゃんと残っているゲームであれば、それを復活させることができるということを証明してくれた点でも評価されました。
4. Blindfold Strategy(中下龍之介さん)
(魚井)続いて「Blindfold Strategy」ですが、視覚に依存せずに遊べるという点で、視覚障害をお持ちの方はもちろん、目をつぶっても体験できるゲームです。しかも簡単なものではなく、結構難しいゲームなので、これまでになかった——ごまかしじゃない、ちゃんとしたゲームを作り上げたという点でよくやったなと思いました。ブロックのデザインそのものもいろいろ考えられていて、ユニークさがありました。
5. 3Dゲームが苦手でも遊びやすいカジュアルな3Dアクションゲームの制作(後藤怜さん、伊藤美海さん、松岡優輝さん)
(魚井)続いて「レイヤドン」。これは本当に東京ゲームショウやビットサミットによく出展してくれて、ずっとずっと磨き上げて良くしていった、デジタルゲーム学科らしい作品の典型例だと思います。こちらが安心して「このゲームなら推せる」と感じるような仕上がりがあったのが良かったです。
6. 英文法学習アプリ「The Grammar Workshop」(上田小蒔さん、立石大樹さん、弓場遥陽さん)
(魚井)続いて「The Grammar Workshop」。英文法学習アプリということで、ゲーム化の考え方をどうするかについていろいろ工夫がありましたが、私が一番良いなと思ったのは、実際にテストを何度も繰り返したということです。対象となる中学生のところに持っていって、フィードバックをちゃんと聞いて、それを3回ほど繰り返している。その努力が結局こういう形に結びついたのだと思います。
7. デジタルホラーハウス2025〜異変の廊下〜(宮井裕也さん、福田悠人さん、YEAP ZHI GINさん)
(魚井)最後に「デジタルホラーハウス2025 異変の廊下」はもう十数年続いているプロジェクトで、毎年少しずつ変わっていきます。去年、実際にやってもらった「ループパラドックス」という、実際には円を描いて動いているのに、なぜか真っすぐ動いているように感じるという手法があります。去年はその手法を使うだけで精一杯だったんですが、今年はそれをかなり洗練して、その中にホラーハウスらしい要素をたくさん取り入れることに成功した点が評価されました。実際、たくさんの方に体験していただいて、その辺は分かっていただけたのではないかと思います。
(魚井)これが終わりではありません。ここから始まりです。もちろん、ゲームを作るという点ではここで終わるのかもしれませんが、作るために使った知識や経験を、これから先の人生でぜひ活かしていただきたいと思います。皆さん、おめでとうございます。



