【研究部門賞受賞作品のご紹介】2025年度なわてんグランプリ
2025年度なわてんグランプリ研究部門賞には、全46点の研究の中から、学術的評価の高い5点が選ばれました。
受賞作品と審査委員のコメントをご紹介します。
審査委員 沼田先生のコメント
受賞された皆さん、本当におめでとうございます。今年度の審査では、単なる技術の優劣だけでなく、技術がいかにして社会全体に活力を与えるか——つまり、現実の課題解決と学術的な探求心がいかに高い次元で結びついているか——を重視して審査させていただきました。今回選出された5件の研究は、どれもバランスに優れており、審査委員会の中でも高く評価されました。
(※)作品タイトルのリンクから、なわてんオンラインの作品ページをご覧いただけます。
1. LiDARの反射強度と追跡技術を用いた建設機械の管理手法の高精度化に関する試行(宮本歩さん)
(沼田)宮本さんの研究は、建設DXという現在進行形の社会改革において、ライダーの反射強度という技術要素を現場で使える形で実用化された点が評価されました。中原先生のご指導のもと、実験による検証まで行い、社会実装への道筋を丁寧に示されています。
2. 認知症予防に向けた二重課題レースゲームの開発と評価(武田秀悟さん、藤村一石さん、松山晃大さん)
(沼田)武田さん、藤村さん、松山さんの研究では、認知症予防という社会的意義の大きいテーマに、ゲームという手法でアプローチされました。槙石先生のご指導のもと、この基盤システムが他の研究の軸となったことも含め、研究の波及効果を評価いたしました。
3. AIによる入力に関連するアイデアの提案機能を備えたゲーム企画⽀援ツールの開発(三河達也さん)
(沼田)三河さんは私の研究室の学生ですが、あえて客観的に評価させていただきました。ゲーム企画におけるアイデアの創出は、現場で切実な課題となります。特にゲームジャムなどを開始するときには、いかにアイデアを出していくかが問われるわけです。このツールでは、キーワード拡張と画像生成をLLM系のAIで組み合わせ、独自の協創モデル——人間とAIの協創モデル——を構築しました。生成AIという新しい波を単なる便利なツールで終わらせるのではなく、人間の創造性を引き出す協創のパートナーとして定義し直した点に、これからのゲーム制作への新たな光を当てるものとして評価されています。
4. 教習所向けVRドライビングシミュレータの開発(浅野亮大さん)
(沼田)浅野さんの研究は、自動車教習所という具体的な現場にVR技術を適用し、実験を重ねて定量的・定性的な両面から検証を行った実践的な研究となっています。大西先生のご指導のもと、スピード感、車幅感覚、距離感といった運転の本質的な要素を丁寧に分析されており、実用化への道筋が明確に示された研究となっています。
5. フェイク顔画像検出のためのCNN分類器とGrad-CAMを用いたバイアス解析(中井十夢さん)
(沼田)中井さんの研究では、生成AIがブラックボックスとして社会に浸透し始めている今、重要な信頼性の問題を問う研究となっています。単に分類の精度を競うだけでなく、Grad-CAMという可視化手法を用いて、AIがどこを見て判断しているのかというブラックボックスを開けた点が学術的に評価されました。
(沼田)今回受賞した5件に共通するのは、画面の中だけで完結するものではなく、常にその先にいる人間や社会を見つめているという点です。これは研究を行う上での本質であり、皆さんの卒業後のキャリアにおいても必ず生きていく姿勢だと確信しております。改めて、今回受賞された皆さん、おめでとうございます。

