【2018年度なわてん】直前レポート「計測ハードウエア研究室(高見ゼミ)」の取材をしてきました!
2018年度なわてん

【2018年度なわてん】直前レポート「計測ハードウエア研究室(高見ゼミ)」の取材をしてきました!


なわてん開催まであと2週間!
今日は、計測ハードウエア研究室(高見ゼミ)を訪問し、3名の先輩達の卒業研究の取材をしてきました。

高見ゼミでは、将棋や盤双六、古将棋の中でも有名な摩訶大将棋(まかだいしょうぎ)などのゲームをデジタルゲームに応用したり、逆にデジタルゲームを他分野に応用したりという研究を行っています。

高見ゼミのブログサイト

大阪電気通信大学 高見研究室 摩訶大将棋のブログ260)古代日本の将棋の盤について

摩訶大将棋(まかだいしょうぎ)とは

平安時代に作られたとされる大型の将棋のひとつ。敵の駒を取った時に強制的に成駒になる、取った駒を使えないなどの特徴がある。
従来、古文書を元にした復刻では盤のマス目の数は19×19であったが、近年、高見教授の最新の研究で、平安京の都の形を元にした19×16のマス目ではないかという新たな説が生まれた。

摩訶大将棋の新解釈!?

ひとり目の榎本さんは、摩訶大将棋の復刻についての研究をしています。

【2018年度なわてん】直前レポート「計測ハードウエア研究室(高見ゼミ)」の取材をしてきました!

なわてん:どんな研究をしているのですか?

榎本さん:高見先生による古文書の新しい解釈によって、従来とは違うマス目という説が出てきたので、盤のマス目の数の変更に伴うコマの動きやルールの変更について研究しています。
平安京陰陽五行を強く意識して設計された都で、摩訶大将棋もまた同じ思想によって作られたと思われるコマとその配置が共通しています。実は、平安京と新しいマス目の摩訶大将棋を重ねると、ぴったり重なるんです。

なわてん:ええっ(゜ロ゜)ほ、ほんとですか!すごい発見ですね!

陰陽五行とは?

五行説(ゴギョウセツ)とは中国古代の思想で、万物は「木・火・土・金・水」の五つの元素が循環して変化するという考え方です。

榎本さん:時代とともに将棋盤のサイズが小さくなり、駒の数も減っていきますが、これは平安京が徐々に小さくなっていったことと関係があるのではないかということです。
都の形とぴったり重なるのは、これらの将棋はただのゲームではなく、占いをするために用いられていたのではないかとも考えられているからです。

なわてん:すすすごい、めちゃ奥が深いんですね!

榎本さん:けっこう面白いでしょう?

【2018年度なわてん】直前レポート「計測ハードウエア研究室(高見ゼミ)」の取材をしてきました!

なわてん:榎本さんが摩訶大将棋を研究しようと思ったきっかけは何ですか?

榎本さん:実は元々将棋好きという訳ではないんです。3回生の時に、グランフロント大阪のVisLab(ビズラボ)で開催された摩訶大将棋のイベントを手伝って、面白うそうだなと興味を持ったからです。

なわてん:なわてんでの展示が楽しみですね。

榎本さん:会場では、さっきの平安京の話をもっと詳しく話したいと思っているので、ぜひ展示を観に来てほしいです。

世界初のデジタルマニュアルが誕生!

ふたり目の中西さんは、摩訶大将棋のマニュアルを作っているそうです。

なわてん:どんな研究をしているのですか?

中西さん:まず最初に、実は今まで摩訶大将棋のマニュアルというものがなかったんです。そこで、デジタルベースでマニュアルを作ろうと思い立ちました。

なわてん:どんなマニュアルなんですか?

中西さん:駒の一覧や勝利条件などを見ることができて、駒の動きはアニメーションを使い分かりやすくしています。
摩訶大将棋は駒の数が多くルールが分かりにくいところがあるので、それを改善するためにノベルゲーム式にビジュアルつきで解説できるものにしたらどうかと思い立ちました。

【2018年度なわてん】直前レポート「計測ハードウエア研究室(高見ゼミ)」の取材をしてきました!

なわてん:このマニュアルを見ながらやれば、早くルールを覚えられそうですね。

中西さん:駒数が多く、迫力があり、戦略の幅があって面白い摩訶大将棋をもっとメジャーにしたいです。

摩訶大将棋よりも面白い廣象棋(こうしょうぎ)って?

最後の羽月さんは、廣象棋(こうしょうぎ)という将棋について研究をしています。

なわてん:廣象棋(こうしょうぎ)って何ですか?

羽月さん:廣象棋というのは、江戸中期の儒学者、荻生徂徠(おぎゅうそらい)が、兵法に基づいて作った将棋です。
あまり知られていない将棋ですが、これがなぜ作られたのか、なぜ廃れたのかを研究しています。

【2018年度なわてん】直前レポート「計測ハードウエア研究室(高見ゼミ)」の取材をしてきました!

廣象棋とは

江戸中期の儒学者の荻生徂徠(おぎゅうそらい)が兵法の考えで作った碁石と碁盤を使った将棋。
荻生徂徠は陰陽五行の考えを強く批判していた人で、陰陽五行に基づいて作られた摩訶大将棋に対抗してこれを考案したと考えられている。

なわてん:見た目は囲碁のようですね。

羽月さん:はい。実際に碁石と碁盤を使っています。碁石を使っているので、コマもマス目の中ではなく、格子の交点に置きます。

なわてん:どんなところが面白いですか?

【2018年度なわてん】直前レポート「計測ハードウエア研究室(高見ゼミ)」の取材をしてきました!

羽月さん:ひとつひとつのコマも将棋とは違う異質のものがあって、例えば仏狼機(ぶつろうき)というヨーロッパの大砲ではないかと思われるものや、成駒に五里霧中の語源でもある「五里霧」という、20km四方に霧を発生させて相手を迷わせる道術のひとつの名前が出てきたり、かなり面白い将棋だと思っているので、多くの人にも是非興味を持って欲しいと思っています。

高見ゼミのみなさん、ありがとうございました!
なわてんでの展示をお楽しみに!!